ラヴェルのトッカータの5小節目です。門番のような音の並びです。何が難しいと言えば、第一主題を構成する和音をとりつつ、高速で流れ去っていく真ん中装飾音(ファ,ミ,レ,ミ,ファ,ミ,ファ,ミ)を叩かなければならない点で、具体的には譜例上段ミの音が厄介な課題となります。もっとも、10度届くような人なら、上のような運指、親指でミをとることができるので、はっきり言って難所でもなんでもないのではないでしょうか。オクターブまでが実用上限界という人にとっては、5432はかなり厳しいです。最高音を明瞭にしつつ無理のない手の開き方で考えれば、下のような構成になると思います。
ただ、こうなると親指が楽節すべての音を拾う必要があり、別の難しさが生まれます。練習次第でなんとかなるかどうかわかりません。 別の案として、装飾音を全て左手でとる方法が考えられます。前半部分は、左手の和音と装飾音込みでオクターブ範囲内なので、2の指がやや忙しくなる程度で済み、次の和音にしても、細かい跳躍で住むので、ひとまずこれで何とかなるでしょう。しかしながら、後半はどうでしょうか――。良い餡があれば教えていただきたいものです。
ラヴェルのトッカータでカルメン変奏曲から現実逃避をしていたら、急に現実に戻された気分です。
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