取組楽曲と進捗一覧

ABCDE
1
作曲家名楽曲名総小節数暗記小節数暗記小節数の割合
2
フレデリック・ショパンマズルカ遺作第24番4040100.00%
3
フレデリック・ショパンポロネーズ第6番「英雄」181181100.00%
4
フレデリック・ショパン前奏曲第3番3333100.00%
5
フレデリック・ショパン新しい練習曲第2番6060100.00%
6
モーリス・ラヴェルクープランの墓よりトッカータ25212951.19%
7
フレデリック・ショパン練習曲作品10第1番792227.85%
8
ヴラディミール・ホロヴィッツカルメン変奏曲1573220.38%
9
クロード・ドビュッシー前奏曲第5番「アナカプリの丘」961212.50%
10
ヨハン・セバスティアン・バッハパルティータ第5番9588.42%
11
モーリス・ラヴェル鏡より「鐘の谷」5447.41%
12
モーリス・ラヴェルクープランの墓よりメヌエット12800.00%
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2022年10月1日土曜日

ホロヴィッツのカルメン変奏曲を弾きたい! 第9回


 ホロヴィッツの楽譜が遂にSchott社から発売されました。『カルメン変奏曲』『星条旗は永遠なれ』『悲しげな断章』の三作品です。Amazonでは『カルメン変奏曲』のみ、アカデミアミュージックではすべてそろいます。

 もともとホロヴィッツの採譜による楽譜は権利上の問題は、完全に解決しているかもしれないし、していないかもしれないといったところ。昨今では、採譜を有償で販売するなど、モラルハザード(公開からして控えるべきなのだろうが・・)というべきか、これら採譜が権利の侵害に当たるのであればより侵害のレベルの高い状況となっていました。この状況を見ての判断なのか、The Horowitz Websiteの編集者で、各種ホロヴィッツの実況録音のライナーノートにかかわってきたBernald Horowitzを校訂/編曲に据えての販売となりました。なお、自筆譜から楽譜にしたものではなく、従来通り音源からの採譜作業行った楽譜となります。しかし、これは大変意義のあることです。

 作曲者が販売に踏み切らず、未亡人が封印したため、楽譜が工程を経て出版されることは、私が生きているうちにはないだろうと思われていたことが実現したため大変驚きました。関係者にこの場を借りて感謝を申し上げるとともに、他の編曲作品についても引き続き出版を心よりお待ちしております。

 ついては、次回より、当ブログのシリーズ「ホロヴィッツのカルメン変奏曲を弾きたい!」はショット版を採用しての挑戦となります。

※『カルメン変奏曲』の楽譜1ページ目、10小節目の右手#は♮だと思います。




2019年4月1日月曜日

ホロヴィッツのカルメン変奏曲を弾きたい! 第8.5回

 録音はありませんが、引き続き、急速なパッセージ(譜面)を練習中です。



 今日は趣向を変えて考察です。ホロヴィッツがこの部分を弾く時、上昇する部分では、手をほとんど握った状態で、小指だけ上に突き出ている格好となっています。残っている彼の映像のすべて見られる手の使い方で、特段変わったものではなく、癖か何かだと思って、なぜこの形になるのかは考えていませんでした。ところが、何か秘密があると思い、問いを変えてみます、すなわち、「なぜこの形でなければならなかったのか」。

 答えは、考えるよりも鍵盤に触れてみなければ出てきません。私が該当の部分を弾きながら、この手の形を維持する感覚は、ちょうど握力計測器を少しでも良い記録を出そうと握りしめるような感覚に近いものでした。握力計測器を握る場合、小指は手のひらに向かうのが自然ですが、運指の関係で小指の担当鍵盤がある場合、一度内側から外に出して伸ばす必要があります(手を広げる力と握る力の大きさは比較になりません)。前もって外に出しておけば一動作減るため、事故が減るという算段でしょう。ホロヴィッツがあの手の形をしている時は、非常に強い力で鍵盤を押し籠めていると考えて差し支えなさそうです。

 音楽方面の効果を考えてみると、この急速な場面に限りますが、この握りしめようから推察される音と比べて、決して音量の出ている場面ではありません。主としてmfレベルの音量で上下する半音階の連なりが美しい場面で、必要な握力としては過剰に思えます。しかし、ここで気をつけなければならないのは、ホロヴィッツは右ペダルを踏んでおらず、左手の和音をスタッカートで弾き、一種のグルーヴ感を維持しようと試みている点です。同曲中まったく同じ型の音をペダル有りで弾く場面があり、そこでは和音を響かせているところから、弾き分けていることは間違いありません(この点からも、ホロヴィッツが無神経な場当たり的な曲芸師と言う評は当たらない)。「なぜこの形でなければならなかったのか」、結論は、「グルーヴ感を維持しながら、半音階の連なりの美しさを前面に出したい」からです。

 音をつなげるには右ペダルの音響付加の補助が有効ですが、前述の理由でペダルを踏むことができない。そこで、左手の音量を適当に維持し、半音階の連なりをできる限り目立たせるため、握りしめるように鍵盤をつかむわけです。ピアノはちゃんと底鳴りしてくれました。二律背反を解決するのは力技と相場が決まっているようです。

 これは、編曲上の技法についてですが、一つ書いておかなくてはなりません。ピアノの音が出る仕組みは、鍵盤を押し込むと、押した鍵盤に係る消音機能を持つダンパーが上がる、それと同時に、ハンマーが弦を叩いて音が鳴というものです。なお、右ペダルを踏むと全鍵盤のダンパーが上がる構造となっています(Wikipediaに図表付きのわかりやすい解説があります)。ところが、今話題にしている半音階の連なりが始まる音の高さ部分には、ダンパーが付いていません(標準仕様です)。つまり、左手部分(全て)のダンパーは下がったまま、右手はペダルを踏んだ状態の音が得られるというわけです。効果はお聴きの通りです。ピアノの構造をよく心得た編曲です。ホロヴィッツが無教養な馬鹿と言う評も、少なくとも保留が必要のものと言えます。

2018年7月31日火曜日

【録音】ホロヴィッツのカルメン変奏曲を弾きたい! 第八回

 三度半音階下降の部分を収録しました。未だ音楽になっておりませんが、片鱗を感じることができるのではないでしょうか。やはり、ショパンの作品25第6番の方が難しいように思われます。
 他の部分で目立った課題と言えば、暗記の不安定を除けば、経過句ではないでしょうか(以下譜例)。



基本的には、右手小指の問題です。一番高い音(あるいは低い音)を小指が担当する事はよくあることですが、腕からの力を直線的に鍵盤に伝えるには、小指が力を支える力を備えていなければなりません。試しに机の上に小指の先だけをつけ、腕全体の重みを載せてみましょう。私の場合は震え始めます。ピアノ演奏の拙劣さを言う言葉に「筋肉弾き」と言うものがあるそうですが、この小指の問題は、握力に関わるものではなく、いわゆる脱力演奏を支える腕の力の伝達にかかわるものなので、さすがに最低限必要な筋力であるように思われます。回数を重ねてすこしずつ鍛えていけばよいのです。


2018年7月10日火曜日

【録音】ホロヴィッツのカルメン変奏曲を弾きたい! 第七回

 第六回のほうに、半音階三度を含む変奏に着手すると言いましたが、難航しております。三度よりも三連符の方が曲者で覚えるのがむずかしいです。

 今回の録音は、既出の箇所を収録したものになります。前回と比べて30秒の短縮と、客観的に上達の程がわかるのではありますが、まだまだ不揃いの音が耳につきます。


2018年6月26日火曜日

【録音】ホロヴィッツのカルメン変奏曲を弾きたい! 第六回

 カルメン変奏曲です。
 暗記が進んでつまづきが減ってきたように思われます。本来なら、躓きがなくなるまで暗記に徹するべきでしょうけれども、そこまで録るのがこの記録の意義ですから、私は録ることをやめない。

 録音対象部分の少し前には、例の変則半音階加工を伴う第一変奏がありますが、次週から、それにも取り組んでいく予定です。この部分は、カルメン変奏曲の超絶難曲としての側面を代表するような言われ方をしますが、はっきり言って、騒ぐほどのものではありません、一般的な意味で難しいものではありますが。触ってみればわかりますが、編曲者は三度の半音階下降で最も弾くことの容易なもののみを選んでいるためです。ショパンの作品25第6番練習曲の方がよっぽど難しいです。
 

2018年6月20日水曜日

【録音】ホロヴィッツのカルメン変奏曲を弾きたい! 第五回

 前回に引き続き、楽曲真ん中あたりの変奏部分を練習しました。覚えることが目的で、楽な弾き方を探る余裕はありませんが、徐々に形になってきているのではないでしょうか?




 取り組む前、手の交差が忙しい変奏(下の譜例)で、手の位置関係、左右どちらの手が上で下なのかさっぱりわからなかったですが、触ってみれば答えは単純でした。親指が黒鍵を触る場合は上、同様に白鍵の場合は下です。なお、模範解答(ホロヴィッツの映像)は確認していません。

 手の開きが比較的広い一回目の青で囲った音は、左手でとっています。特段不利な影響はないようです。主題が聞こえにくくなるかもしれませんが、もともと強拍でリズムを切っていく部分なので大きな影響はないはずです。

→第六回へ

2018年5月27日日曜日

【録音】ホロヴィッツのカルメン変奏曲を弾きたい! 第四回、ショパンのマズルカ遺作第4番(WN24、旧作品68-1)をうまく弾きたい! 第4回、ショパンの英雄ポロネーズが弾きたい! 第3回

 先週以来の投稿という事で、あんまり違いはないのでしょうが、三種楽曲の録音を以下に掲載します。
 先ずはカルメンから。

カルメン変奏曲


 

 一個目の走句の読譜が間違っていたので、訂正して右手のみ録音しました。
 二個目のものは、やや早くなって本物に近づいたのではないでしょうか? そうでもない? そうかもしれません。
  一個目の走句の後ろに変奏が控えておりますが、それに取り組んでいる最中です。
→第五回へ

 次はマズルカ。

遺作マズルカ




 自分が気を付けている部分のほとんどさらうことができた演奏です。あとは、細かい部分の整理に徹する事になるしょう。

英雄ポロネーズ


 後半の質がどうしても上がらなかったので、前半のみを掲載します。
 最も難しいと評判の六度半音階の部分です。 多少流れがよくなったのではないでしょうか? このことについては、後日加筆します。

2018年5月20日日曜日

【部分録音】ホロヴィッツのカルメン変奏曲を弾きたい! 第三回

 ああ、何もかも懐かしい。3年ぶりである。まさかいまさら第三回目の投稿を行う日が来るとは思っても見なかったものだ。

録音について


 「マイク音量等を最小限に絞って収録すると音が割れない」らしいので試してみたら、本当に割れていませんでした。これで、下手な演奏も耳に耐えるものになることでしょう。

カルメン変奏曲


 さて、難技巧の目白押しとして知られるカルメン変奏曲にも容易な部分があるもので、その中から、経過句を選んで数日練習したものを以下に掲載します。101小節と58から61小節までの二つの区間です。


 どうでしょうか、まるで形になっていないでしょう。それもそのはずです。繰り返しますが、手を出してから数日です。しかしながら、58から61小節の方は、何となく原曲の疾駆パッセージを思い出させる部分があるのではないでしょうか? 笑ってはいけない。これが練習の糧となるのです。


→第四回へ

ショパン:マズルカ


 おまけとして、ショパンの遺作マズルカも載せておきます。


 こちらも、音を大方さらうことができるという状態から、相変わらず上達しないわけですが、 これも暗記不足が原因でしょう。音はばらつくし、気を抜くと上がっていくメロディーラインにリズムの癖がついているのも見逃せません。

 ところで、フリードリッヒ・グルダの録音には、どうも自宅で収録したのではないかと思わせるような残響に乏しい録音に出くわしますが、ということは、我が家の録音環境とほとんど同じようなもの(アップライトとグランドの差はありますが)ということです。内容の差は歴然でありまして、ハンデがあるにもかかわらず、どうしてグルダの音楽は形がはっきとしているのでしょうか? 不思議でなりません。そういえば、ホロヴィッツにも自宅録音がありました。『ザ・ラスト・レコーディングス』も自宅での収録でした。いつか、ああいう風に弾いて録音を作ってみたいものですね。

2014年11月1日土曜日

ホロヴィッツのカルメン変奏曲が弾きたい! 第二回

Vladimir Horowitz -Complete Original Jacket Collection



 ながらく更新が滞っていたのは、練習記ということで記事更新においては録音を公開しようということを念頭に置いていたのですが、現物を確認して公開するかを決めかねていたからです。下手なら下手なりに記録としてあげればよい、そういうことではあります。下手なところをみせたくないという気持ちは、私も人間ですから少なからずありますが、それよりも収録した音源のあまりのむごたらしさに閉口して即座に消してしまうのが最大の理由であります。記録以前の問題ではあるまいか、そういうわけであります。

 しかしながら、練習自体は暇を見つけては行っています。簡単なところからつぶしていくという、搦め手ではありますが、まぁ、正攻法でかなう相手ではありません。簡単なところを探すために、一通り触っています。やはり難易度の幅は広く、個別に集中して指の精度を上げる必要を迫られるような個所もあれば、覚えてしまえば何とかなる部分もいくつかあります。ただ、各部分をまたいで共通して言えることは、無駄な音が極めて少ないということです。古今東西の傑作に無駄がないという賛辞が贈られることはままありますが、それが指す「無駄が無い」という意味とは少し違い、要するに、すべての音が何かしらの演出的な役割を担っているということです。そのために、ホロヴィッツは音を増やしたり削ったりしているように見えるのです。特に削っている方は、私にとって大胆に見え
るものが多く、事故率を演奏効果を調整を図る紀大の演奏実務家ホロヴィッツの思考を課見ているようで興味深く思います。描き分けられない音はそもそも消しても問題ない、一方で実際に鳴る音については指による描き分けの極限を目指す、そういうことでしょう。

 夏井氏だったと記憶していますが、ハンガリー狂詩曲第十五番の楽譜を眺めながら、ホロヴィッツは、この耳で書きとめられた音符以上のことをやっているように感じるという意味のことを書いていました。これは比喩でも誇張でもないと私には思います。

→第三回へ(録音あり)

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2014年10月1日水曜日

ホロヴィッツのカルメン変奏曲が弾きたい! 第一回





 本日はホロヴィッツの生誕百一周年記念であります。それに引っ掛けてこういう企画を始めようと思います。どうぞよろしくお願いします。

 私は「ホロヴィッツによって、ピアノという楽器の魅力と限界を初めて了解した」と(酔った勢いで)言ったこともあるくらいのホロヴィッツのファンであります。なので、ホロヴィッツの代名詞の一つであるカルメン変奏曲を前々から弾いてみたいという気はあったのですが、まぁ、周知のとおりすさまじい難易度です。触れては放り出すの繰り返しで手につくものもつかないでここまで来ました。こういう企画でもしなければ一生弾くことはできないだろう、動機といたしましてはそういう次第であります。

 目標は、「ホロヴィッツの弾くテンポと同じくらい」で「音楽的に」弾くことです。前者はともかく、後者はあいまいでありますが、具体的にはミスタッチを減らして主旋律が聴こえればよい程度の感覚で構えています。

 使用楽譜は、 L. Edson Jeffery (2010)版です。数ある収録された1968年版の中で、ミスタッチがほとんど無い(ほんの少しある)と思われるテレビ放送版の映像、他音源をコマ送りで検証して作成したとされるものです。この場を借りて、この楽譜の製作にかかわった方々に感謝申し上げます。

さて、この企画をはじめるにあたって、ごく簡明なところから始めることにしたいと思います。

 カルメン変奏曲の原曲は、ご存じのとおり、ビゼーの出世作であるオペラ、カルメンの第二幕冒頭のジプシーの歌と呼ばれる部分です。ビゼーの旋律美がいかんなく発揮された傑作と言えるものの一つでしょう。そして、カルメン変奏曲はこのビゼー原曲をもとに編曲を行ったモシュコフスキーの物に、ホロヴィッツが手を加えたものであると、一般には言われているようです。といっても、このホロヴィッツのカルメン変奏曲は、構成の面から言えば、序奏にあたる部分を大幅にカットした点を除けば、おおむねビゼーの原曲に沿った形になっておりまして、ホロヴィッツがカルメンのフルスコアを前にして構想を練ったという話があっても、全く違和感はないものではあります。モシュコフスキーのピアノ編曲を参考にした、ビゼーの原曲より直接書いた、どちらの可能性もあると思います。どちらの説も間違っているかもしれません。

 さっそく楽曲をみて行くことにしましょう。旋律の数は、楽曲解析など、まして作曲など、ずぶの素人である私が簡単にみたところによれば、四つで、それぞれをアルファベットにして並べると、A,B,C,D,B,C,D,A/B,A,コーダとなっているようです。古典的な、厳密な意味での変奏曲とは言い難く、歌曲に変奏曲の展開を応用したと言えましょうか。似通ってはいるものの、別々の旋律を用意して聴き手を飽きさせないビゼーの工夫を感じます。A/Bとなっている部分は、右手がAを左手がBを弾くことになっているという意味です。ハンガリー狂詩曲の第二番で旋律を三本同時進行させたホロヴィッツならではの処理と言えましょう。

 ただ、まともに主題(旋律)が提示されるのはAくらいで、あとの物は初出段階(提示)で、いろいろなもの、分解された対旋律、装飾的な音がくっついています。おそらく、原曲があまりに有名で物であるから、わざわざはっきりと生の旋律を提示する必要もないということなのでしょう。

 私の記憶ではAは最初と例のオクターブによる最後に出番があるので、非常に印象深いのですが、あとの物は、技巧他のきらびやかさが目がはいって隠れがちになるようです。練習に際しては、やみくもに音符を追っていくのではなく、旋律を指標にしながら練習していきたいですね。

→第二回へ

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