2013年1月21日月曜日

ブラームス交響曲全集のピアノソロ編曲

まさかのブラームスの交響曲

 ベートーヴェン交響曲全集は、リストのものが有名で、リスト自身、序言で「出来の悪い編曲を締め出すとともに、大ベートーヴェンの楽曲を調べるにあたって有益となるように」とかなんとか自信に満ちた事を書いていまして、内容も見合ったものではないかと思われます。彼のベートーヴェンへの敬意とリサイタル用楽曲としての側面を維持するという問題の間での葛藤の末に導き出したリストの天才的書法には、驚くべき部分があります。

 ベートーヴェン交響曲全集カツァリスが質の高いアルバムを出しています。もっとも、カツァリスの物はリストが演奏難易度を落とすために省略した声部を補ったものです。いわゆる英雄交響曲の第四楽章は、その特筆すべき楽章でしょう。対位法的な部分を抜けた後に現れる、短調の颯爽とした猛々しいあの部分です。普段なら技巧的なものを示すだけの両手交互オクターブをバランスの観点から音響の増加と容易さを両立するため効果的に使っていたり、フルートの上昇音階が入っていたりしています。きわめて聴きごたえするものなので、カツァリスは使用した楽譜を一般販売すべきでしょう。お願いします。

 それで、音を横に延ばしたり、大きくクレシェンドしたり、各楽器のソロが登場したりするブラームスの交響曲にピアノ独奏があるとは思いませんでした。まぁ、モーツァルトのレクイエムのピアノ独奏盤が存在する時点で、いやな(?)予感はしたのですが。



 出来栄えの方は、3番が頭一つ出ていて、後の1,2,4番は、かなり痛々しいというか、諦めたかのような部分が多いです。ブラームスの交響曲を聞けばでくわす、あの香り立つような響きは、木管の豊かな音色からなる物でしょう。楽器特有の魅力と結びついているあの音は、ピアノでは再現できないでしょうが、興味のある方は是非一度手を出してみてはいかがでしょうか? 上に譜例として挙げている第3番の第3楽章の出来栄えは出色です。楽譜はIMSLPにあります。リンクからどうぞ。

Beethoven/Liszt: Symphonies 1-9
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