ピアノの鍵盤の拡張と言えば、ベーゼンドルファー社製造のインペリアルが有名ですが、その変種ともいうべき楽器が登場したようです。その名も”Doppio Borgato”。イタリア語だと思いますが、読み方はわかりません。特徴は何と言っても、下段ピアノの設置でしょう。通常のピアノの機能のほかに、足元をオルガンの足鍵盤のようにしつらえて、足で中音域から低音域を鳴らすことができるという仕組みです。百聞は一見にしかず。
弾いているのは、パフォーマンス的なオルガン演奏で有名なキャメロン・カーペンターです。楽曲は、アンダーソン作曲のそりすべりの独自編曲でしょう。演奏を聴いてみると、彼の即興趣味が音楽に反映されているからかもしれないが、低音の心地よくはっきりとしたリズムの刻みが、ピアノとの大きな違いということになるのでしょうか。実質的には、中音域から、低音を足に任せるということなのでしょうか。ダンパーペダルなどは使えなくなっていそうなので、繊細な演奏よりは、音量変化に富むダイナミックな音楽を扱う方が向いているのかもしれません。少なくとも、彼の演奏は成功しているのではないでしょうか。
いやはや、ピアノもまだまだ変種が登場するものですか、世の中分かりませんね。