楽譜の読み方辞典
我々独学者にとって、楽譜の読み方を体系的に習った記憶と言えば、中学の音楽の授業くらいなものではないかと思われます。楽譜の読み方についての知識は、伝統にとらわれないと自称している音楽家にとっても致命的な事です。音程はわかるが、それ以外の記号については、Wikipediaで調べて何とかしているという人も多いかと思われます。対処療法は、確かに記譜上の正しい音を導きますが、不透明な記譜の理解を根治的に治すには、やはり体系的に楽譜の文法を頭に入れておいた方が良いように思われます。タイやスラーと言ったものは、単純な暗記でどうにかなりますが、臨時記号のルールは、頻発する上に重要な音の変化を伴うものが多いのですが、かなり複雑なルールの上で成り立っています。私も知識の必要を痛感したものです。
『楽典』は、そういったニーズにこたえるとともに、分からないものが現れれば、答えてくれる辞典のような機能を期待できる点ですぐれた著作であるように思います。いつもお世話になっております。L'istesso tempoの解説などは、必見と申せましょう。