2016年5月7日土曜日

ショパンの英雄ポロネーズに特化した楽譜


 英雄ポロネーズは、ショパンが作曲した楽曲の中でも「幻想即興曲」「革命」「別れの曲」などと呼ばれるものと並んで人気のあるものです。内容は起伏に富み、華やかで、技巧的にもやや難しいという絶妙な位置にあり、私などは「私はピアノを弾けます」と言うときには、たいていこれを盾に出します。

 Amazonで本を探していたら「ポロネーズの絶頂である英雄ポロネーズ」という言い方をしているものもがあり、確かに、ショパン以前のポロネーズとショパン以後のポロネーズは、まるで違っていて、以後にあってはもはや一リズムの類系や形式の名称にとどまらず、ベートーヴェンにおけるスケルツォ並みの革命が作曲者の手によってなされたと言ってもよいように思われます。リストのポロネーズにしても、ショパンの影響なしには考えられない姿をしているところからして明らかではないでしょうか。

 ただ、一般には巨大なアンコールピースとして君臨しているようで、演奏会での扱いも様々な華やかな技巧的な装飾を伴った演奏が現れていた例もあったようです。ショパンの悩んだ跡から、弟子への指示、演奏家の改訂を、上の楽譜では多く取り入れたようです。偉大な楽曲は、演奏史も偉大なのです。  ここまでは、買う前の話でした。実態は、校訂者が言うところの権威ある版、イギリス、ドイツ、フランス初版、ミクリのメモを参考にした原典版です。どちらかというとフランス初版を基調としたものですが、どうもどの版を見ても現代のショパンの社会的地位と比べて、出版社のショパンの扱い方は雑なように思われます。全初版に相違がある事実は、ただ写譜屋の腕によるということなのでしょうか? 通信手段はそこまで劣悪だったのでしょうか? そうかもしれません、校訂者はこの相違をもとに考察の上原典版を作っているようです。私が見た中で、現代の権威の一つであるエキエル版との最大の相違は、以下の赤枠部分です。
 画像はドイツ初版です(IMSLPにあります)。ウィーン原典版では、該当赤枠部分のシの音がドになっております。つまり、ドの音の連打になります。個人的に言えば、受け入れらない。あまりに違いすぎるのです。