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ベーレンライター社発行のベートーヴェン作曲ピアノソナタ全集(デル・マー校訂版)
8月から発売されている、ベーレンライター社発行のベートーヴェン作曲ピアノソナタ全集(デル・マー校訂版)が届きました。既に交響曲の分野での、ブライトコプフ社一強時代に風穴を開けたベーレンライター版の躍進は周知の通りでしょう。先のヤルヴィによる年末のN響第九もこの版によるものでした。ラトルのベートーヴェン交響曲全集でご存じの方も多いことでしょう。その校訂者が、ほかでもないデル・マーです。今年になってようやく全集が完成に至りました(お疲れさまでした)。2020年の楽聖生誕250周年に間に合いました。
さてこの楽譜、原典版ということで、作曲者の意図を最大限反映するため、校訂者は運指を付け加えておりません。ヘンレ社よりピアニストのペライアが校訂を担当している版にはふんだんに載っておりますので、運指の知恵が欲しい場合はそちらを当たると良いかと思われます。
私はこのベーレンライター版をアカデミア・ミュージックで購入しましたが、ヤマハよりも2,000円ほど高価です。しかし、解説の日本語訳が特別に付録される(発送は後日)とのこと。解説には、スラーやスタッカート、前打音のルールが載っております。楽典によると、これらルールは、時を経るに従って変化したらしく、人によってばらつきがあったようです。硬くいくならば(原典版とはそういう物ですが)作曲者の定義を確認する必要があります。解説は欧文で、その中に、英文が付いており、読めないこともないですが、辞書を引き引きやる慣れない読解はつきものですから、是非とも専門家の手を借りたいものです。